書泉シランデの日記

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漢字オモチャ考
2005年11月17日(木)

「日本語王」とかいうTBSの番組をちょっとだけ見た。段々面倒になったので消した。そもそもテレビを見る根気がないのである。

世間には漢字が気になる人が多いから、こういう番組が受けるのだろう。「甘味処」や「茶房」、あるいは「在庫僅少」なんて読めなくても全然かまわないと思うのだけれど・・・。あ、ここは甘いものを食べるところだ、喫茶店だ、品物があんまりないんだ、というような情報がわかればそれでいいのではないか。

たとえば本屋の店員が「この本はザイコキンショーですから」と口にしたら、その店員はコミュニケーション能力が乏しいのだ。耳で聞いてわかりやすい表現をするのが望ましい会話だから。大体、「カンミドコロで何か食べましょ」なんていう人、どこにいる?

ただ「幅員減少」とか「迂回路」というのは用語自体を考え直すべきだろう。でも、「道幅が狭くなります」だの「まわり道」だのと書いた場合、視覚的に、本当にただのサインとして、車の運転者にわかりやすいかどうかは検討されなくてはならない。漢字は音として読まなくても意味がわかるところに表記の特性があるのだから、何も無理に音にすることはない。これじゃいけないのかなあ。(フクインゲンショーと入力、変換したら「福音減少」と出た。時代を言い当てているようで笑ってしまった。)

「聞く」と「聴く」の使い分けにいたっては、まあ、わかるんだけれど、これをメモして受験生の子どもに渡すような親がいたりするとちょっと恐ろしい。でも、いるんだろうね。中学受験まであと3ヶ月ないものね。個々の状況を考えれば、たとえば、音楽にしても「聴く」ときと「聞く」ときがあることはいうまでもない。そこでどういう字を使うかがセンスだと思うのに、これだという規則があると安心なのかな。

というわけで見る気がしなくなった。

思うに、漢字をどうしましょう、ではなく、現実の日常生活と規範的な漢字漢語の齟齬をネタにして遊ぶ番組なのだろう。たぶん最後まで見れば、日本語のいろんな部分がオモチャにされていることがわかるのだろう。とやかくいうほどのことではないけど、私は世間とずれているようだ。

ついでにいえば、タレントの不出来を笑うのも、何がおかしいのかよくわからない。



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