 |
 |
日本丸
はからずも横浜港の一角につながれている「日本丸」を見学した。 思いのほか小ぶりなことにちょっと驚く。みなとみらい地区に行く度、動く歩道から片目で見てはいたのだけれど、大きさを気にしたことはなかったから。
中に入ると、これがまた、狭い場所を登ったり、降りたり、回ったり、という具合で、狭いのだろうが、狭いとも広いともわからなくなる。動いている船ならば、もうそれだけで船酔いしそう。
昭和20年代には「マドロスさん」という言葉があった。「あこがれのハワイ航路」なんて歌もあった。(私、リアルタイムで知っているわけではありません。私の記憶は東京オリンピックあたりから。)石原裕次郎、加山雄三なんていう「海の男」俳優もいた。つまりは「海」というか、海を渡ることは、かつて人々のあこがれだった。
今、海はマリン・スポーツの場だけれど、外洋への思い、その向こうの外国への憧憬はどうなっちゃったんだろう。海外旅行がお気楽になった分、船の魅力が色あせたかしら。「マドロスさん」とはいわないまでも、船員を恋人に持つような歌ってあるのかしら。なんといっても今、日本人の船員を探すのは難しいものね。それに新天地への夢を抱いて海を渡った人の子や孫が日本に出稼ぎに来ていたりもする。海は変わらなくても、私たちの心の中での海の位置はここ数十年でかなり動いたのではないかしら。
今日は青空がきれいな日だったのに、灰色のビルをバックにするしかない日本丸はちょっとかわいそうでした。日本丸のバックが青空や大海原になることはないのです。カレンダーとして売られていた写真が、いつ撮られたものか、大海を帆走中のかっこいい一枚であるだけに切なさひとしおでした。
|
 |
 |