書泉シランデの日記

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歴博ブックレット
2005年11月25日(金)

歴博で買った歴史ネタのブックレットである。ブックレットという定型があるのかどうかはしらないが、岩波ブックレットなどと同じく簡単な製本のA5版80ページちょっとくらいのものである。軽いし、薄いし持ち運びに便利。どんないい本でもハードカバーはちょっと持ち運ぶのに体力のみならず、気力も必要とするが、その点、こういうものはいい。

私が買ったのは『洛中洛外図屏風を読む』(なんといっても洛中洛外図屏風は歴博のお宝)と『江戸図屏風の動物たち』(ひところ私の本棚は動物園のようでした)。

歴博お宝屏風に限らず、洛中洛外図のように細かく書き込んだ屏風はなかなか見るポイントがわからない。見はしても、見なかったも同様という思いを何度か重ねて、やっとそれなりに見て楽しめるようになるものだが、この『洛中洛外図屏風を読む』、『江戸図屏風の動物たち』のような本に目を通しておけば、屏風に対する視点がつくりやすくなる。両方とも、実際の屏風の一場面をとりあげ、そこで描かれる風物を楽しみながら説明を加えるという形式である。作品自体の成立や美術史上の位置づけといった七面倒臭い説明は少ない。それでいて歴史好き用に安直に書かれた、よくありがちなものと違って、幼稚な煽りがなくて読んでいて気持ちがいい。江戸図屏風のほうは、動物を拾いながら、江戸という町の特性を描き出すところがきわめて見事。

昔の人はこの手の屏風を見ながら暇をつぶしたに違いない。いろんな人がいて、建物や車があって、あちこちにいろんな生き物が隠れている。発見の楽しみが満載。惜しむらくは、屏風のおける座敷なんぞどこにもない。博物館や美術館の硝子越しに見なくてはならない。せめては、座敷で座ってみてみたい。そうそう、屏風展示用の20畳かそこらの座敷を作ればいいのよね。20畳じゃ狭い?



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