書泉シランデの日記

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『回想のビュイック8』 S.キング
2006年01月14日(土)

この間読んだ『透明人間の告白』があまりにもつまらなかったので、エンタテイメント系口直しがしたくて、キングを読んだ。

キング、さすがに面白い。キングのような売れ筋で、文庫上下2巻で1334円は高いと思うが、価格だけの面白さは確約されていることを感じた。いやおうなく話に引き込まれていく。(帰りの車内が待ちきれず、講演中ついつい内職をしてしまう。)

これでもか、これでもか、と見せつけてくれる「薄気味悪さ」。どこにその頂点があるのか、終わりがくるのか、見当がつかない。

いつもの手口だ、と百も承知のはずなのに、本気で怖くなる私。ホラーだのスプラッターだの、サスペンスだの、全部本当はキライ。でも小説家としてのキングが無類の巧者であることは否定できない。

この作品に関しては、怖いだけでなく、父子もの、職場友情もの、という色合いもあって、その点でもうまいなあ、と思わせられる。アメリカの警官ってのは、よきにしろ、悪しきにしろ、個人の顔があるところが魅力的。日本の小説で、警官の顔があり、相互の友情があり、っていう作品はあるのかな?キングではないけれど、パレッキーのウォーショースキーのシリーズにに出てくるミスタ・コントレーラスも確か退職警官だったと思うが、とにかく主役でない警官のありようが日本とアメリカではちょっと違う。

すみません。国産推理小説は殆ど読んでません。十津川警部って人がいますね。松本清張の「砂の器」にも印象深い警官が出てきたような・・・・・・でも、もしかして日本の警官の代表は、亀有の両津勘吉さん?!

キングの話に戻りまして、ぐっと真面目な『キングの小説作法』や『死の舞踏』も一読の価値ありだと思う。あそこまで手の内を明かして、なおかつ書き続けられるからタダ者じゃない!



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