書泉シランデの日記

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「絵画の行方 現代美術の美しさって何?」 
2006年01月15日(日)

この展覧会は6人の現代画家の作品をとりあげて、現代美術の美しさは何かを問うものであった。現代美術にしてはおだやかなわかりやすい、きれいなものばかりである。(ビデオアートやインスタレーション系はなし。)

別に現代美術の美しさが何か、の答えを教えてくれたわけではないが、私的にはワンランク・アップだった。二木直巳の「見晴らし台」シリーズ、とても面白かったし、小林俊介の一見べた塗り、実は・・・の作品には教えられるものが多かった。

つまり、画面を見て、即、概念的な処理をしてしまったら、そこから得られるものはものすごくわずかになってしまうということ。「これは何々だ」という答えを求める前に、色とたゆたい、画面に遊ぶという解放された心を呼び起こさないといけない。作品に過剰の意味づけ、特に言語化された形での意味づけを求めることからは脱却しなければ。それって読書の場合でいうと、「とてもためになりました」的なご教訓読書法に似ている。

夫は大谷有花のロリーポップみたいなのにひかれ、息子は水上央子の装飾文様的なのを愛でていた。大谷はまだこれからの発展途上人。これからの変化がお楽しみ。水上作品は伝統の流れの延長にある新しさで近づきやすい。だから私にはあまり衝撃的でもなく、過去から現代ひきつがれた抽象性の今日的な表象であった。

あちこちの自治体が美術館を持つけれど、自主企画でよいものができる優れた学芸員を持つところはそう多くない。予算も年々厳しかろう。そういう点で府中市美術館の今回の展覧会はかなりいい線をいっていると感じた。

現代美術を見る視力をもっと高めたいと思う。だから次は是非、インスタレーション系とかビデオアート系をじっくり見せてくださいな!



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