書泉シランデの日記

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モダニズム講演会
2006年01月29日(日)

先日読んだ本の著者である本江邦夫さんの講演会があったので、急遽聞きにいった。

講演会、というより、解説付きスライドショー。面白かった。いろいろあるんだね〜、というのが正直なところ。モダニズムが何か、なんてことはさっぱりわからなかった。

思うに、絵画(美術といってもよい)というメディアを言語に置き換えて素人に語ろうとすること自体が、英語を日本語にするよりも無謀な試みなのである。絵は言葉に置き換えて再現できるものではない。音楽でもそうだが、ここに評論というものの隔靴掻痒的限界があるのではないか。文学評論はまだ、まな板に載せるものが同じ言語だから何とかなることもあるが、美術や音楽の場合は、その場の人々に共通の体験がない限り、なんとも実体の伴わない言葉を漂わせるだけにとどまる。(共通の体験といっても全くぴったり重なる必要はない。作品体験が近似かつ充実していること、といえばいいだろうか。)

ただし、そうはいってみるものの、第一線の研究者のちょっとした解説を聞きながらスライドを見ていくと、知識はもちろんだが、自分では気付かないような視点を教えられはする。これから絵を見るときに、本江さんの解説を追認したり、疑問を持ったりするのだろう。それはなんと言ってもやはり楽しみに数えられる。

若手の作品を見るのもとても楽しそうだ。これが「名画」ですよ!というのを見ていくこともさりながら、未熟な画面に<これから>を見るのも若手のコンサートを聴くのと同様、面白いに違いない。

絵を見ることも音楽を聴くことも結局はその向こうの何かを求める行為なんだろうな。



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