2014年05月06日(火) |
ロング・グッドバイ第三話 |
世志乃 「原田保はたしかに、妹の男の中ではましな方だったかもしれない。礼儀正しいし、
やさしいところもあるわ。でもただそれだけの男よ。どうしてあなたは彼に
そんなに肩入れするのかしら。」
磐二 「誠実な男だった。いまどき珍しいのは、わたしよりむしろ奴の方だった。
そういう人間に対しては、こっちだってそう不誠実ではいられない。ただそれだけですよ。」
世志乃 「なるほど。わたしね、イヤな女といる時の何がイヤって、自分までイヤな女になることなの。
鏡のように、あなたは原田保と一緒にいる時は、一番誠実で、よき人間でいられたのでしょうね。
そういう相手はたしかに、大事に思わずにはいられないものだわ。」
第三話では、ファムファタールな亜以子(小雪)に加え、
あの化け物みたいなとーちゃんを擁護する世志乃(冨永愛)まで近づいてきて、
探偵さんはさらに翻弄されまくり。
まわりがどんどん胡散臭く謎めいてくるせいか、かなりヤクザな商売なはずの探偵さんが、
登場人物の中でいちばんまっとうで世慣れた常識人に思えます。
「誠実な人間に対しては、こちらも不誠実ではいられない」と考えられること自体、
まさしく誠実な人間であることの証よね。
誠実さにつけ入り、取り入り、カモることしか考えない人間だっていっぱいいるのに。
冒頭のふたりのこの会話、ほんとそうだなぁと。
対している相手に、よくも悪くもまったく影響されない人なんていないでしょうし。
でも、世志乃のような自覚がちょっとでもあるのとないのとでは、全然違う。
イヤな人のイヤな理由なんて、簡単にいくつでもあげつらうことができるけど
(あの人のいい和平さんですら千明のイヤなとこ43個見つけたって言ってた@「続・最後から二番目の恋」)
でもそれはあんまり楽しい作業ではありませぬ。イヤだ嫌いだ大っ嫌いだ! と思ってるだけでも
それこそ自分までイヤな人間になっていきそうだし。
なので、むしろ「この人ステキだなぁ」と惹かれる時に、
自分にとっていったい何がステキポイントなのかを、見極める作業の方が、楽しいし、幸せだし。
ステキポイントを見つけながら、自分もそういう人を目指そうとか、
目指すのは無理でも、そういう人間と相対した時に恥ずかしくない人間でいようとか、
いやいや、相対することすら無理でも、そのステキポイントがちゃんとわかる「目」を持った人間でいようとか、
どんだけささやかなレベルになったとしても、自分も「ステキ」路線からは外れないでいられそうだしね。
それにしても、美女と磐二のツーショはそりゃ絵になるけれども、
保と磐二のツーショ以上にせつなくて色っぽいものがないというのはどういうことだ。
最後に第三話のなごみポイント
・「そんなにしゃべるんだ・・・知らなかった」
病院へ行けと全力で説教されているのに、感想はそれ。
・芋の皿
金色のほくほくしたおいもがそれはそれはおいしそうでした。
コーヒーとギムレット以外にもちゃんと摂取してるものがあってヨカッタですわ。
(前回はせっかくの卵を落して割っちゃってたし)
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