とうとう北京オリンピックも終わりなのだ。 ボクはオリンピック観戦はしていなかったのだが、アキコが庭に出て 来てはオリンピックの話を聞かせてくれたので、選手たちの活躍をよ く知っている。
今日はアキコがさびしそうな顔をして「オリンピックももう終わりだ よ」と言ったので、ボクは少し切ない気分になった。 選手たちがみんなそれぞれの国に帰り、またそれぞれの生活や練習を 始めるのだと考えると、夏のお祭が終わってしまったような気がする。
ボクがそんな気分に浸っていたら、アキコがボクに金メダルをかけて くれた。 この金メダルは2年前の冬季オリンピックの時に作ってくれた金メダ ルのようである。 無造作に廊下のピンにぶら下げてあったので、ヒモのところがだいぶ 汚れてしまっているのだ。
こんな古いモノがよく残っていたものだと感心しながら、今日ボクは 金メダルを首に、ゆく夏を惜しんだのだ。

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