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2004年12月17日(金) 町田康りすぺくと

熱い茶が注がれた湯飲みを両手で包むように持ち、はふはふ眼を細めて実に美味しそうに飲むカエルどんが、すわ殺気!ギッと眼光鋭く腰に下げた刀柄に手をかけて背後に近づく者を横に薙いだ、かと思えば誰もそこにはおらず、あれれ、おっかしいよう、と常人ならそう思うけれどもカエルどんは上下左右を舐めるように油断の無き視線を振りまく!が、やはりそこに誰もおらず、結局カエルどん、あれれ、おっかしいよう、と刀を鞘に収めてヌルヌルと濡れる頭を掻いて。

事の真相とは狸どんが三里半離れた場所にて、くわあっと殺気を放ったのであったが、その理由というのが実に複雑怪奇であり夢幻の如くにわかには信じがたいものであった。

なんと狸どんが食物と酒の過剰摂取により目も覆わんばかりにぶくぶく太り果てて、本日の夕刻に至っては妻の狐はんの好物油あげを酒のつまみにたいらげるという極悪非道外道まっしぐらな事をしでかしたのであり、元来ヒステリー持ちでとうとう発狂した狐はんが泡を吹きながら大きく足を振り上げ狸どんの巨大な金玉をあらん限りの力でもって蹴るという暴挙に出たのであり、狸どん、あいたったのこんちくしょうどころではなく、くわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、のたうち回って再度、くわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、痛みも薄れた頃、狐はんは何事もなかったかのような様でシュンシュン煮えたるみそ汁をかき混ぜていたのを霞のかかる目で見た狸どん、くわあっと殺気放ったわけであり、それが遠方のカエルどんにも伝わったという事の顛末であった。

であったよ。


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