ことばとこたまてばこ
DiaryINDEXpastwill


2007年03月09日(金) その瞬間までまるでのんきだったおれ、豚肉に頬をはたかれて反吐の中に顔つっこんじまえ

雨の日の夜は決まってものうげな強い眠りに捕われるおれ、今日もまた瞼をとろとろさせてた。すると何か不透明な窓ガラスに遮られて、丸い栗色の光が儚いほど弱々しく揺れ動いているのを見つけた。夢うつつにいたおれは焦点の定まらない頭で「ああ、あれはなんともあいつの眼の色とそっくりだ」と思った。栗色の光は何度か消えそうになりながらも、時折、強く光った。栗色の光は一点に定まっていないかのように見えたけれどそれでもやっぱりある一点を中心にして揺れていた。栗色の光はよくよく見つめれば単純な一色では決してなく、随分と機微に満ちている色を有していた。やがておれは眠った。

後日おめえがいなくなって。

あの光の揺れ動く様子ひとつひとつが全ておめえのための重要なヒントだったんだ、ということを悲しみにうちひしがれているおれはのんきにもずいぶんあとになってようやく気づいたのだった。


陽 |HomePage

My追加