目次 / 戻る / 進む
There is a black sheep in every flock (黒い羊はどの群れにも居る) 黒い羊は普通『厄介者』の意味だが、他には無い個性を持つ者と言う ちょっと 無理矢理前向きな捉え方もあるんだそうだ。 でもキリスト教圏ではやっぱり縁起の悪い存在として、生まれると殺されちゃってた らしい、最近までは。 どうせ殺すなら食べるべき。味に違いは無い筈だ。 顔が黒い羊なら 動物園のふれあいコーナーに居る。これがまた可愛い。 サフォーク種って言うんだそうだ。大人しく、毛も取れて お肉も美味しい優等生だ。 まあ先生が これを 女生徒に、ポジティブな意味で書いたとはやっぱり思えない。 こんな騒ぎになっちゃって自分が厄介者になっちゃいましたねえって感じだ。
中学1年の時の担任は、私の所属する部活顧問でもあった。 季節は忘れちゃったけれど、私が部室に一人でいる時に、彼がやって来た。 担任でもある訳なので、こちらも当然 気を許す。 すると彼はニコニコ笑いながら一言、こう言った。 「焙煎、お前なあ。あの母親と一緒に居るとそのうち自殺するぞ」 言葉はほぼ、このまんま。平凡な学生である私にとって頭からいきなり雷を 落とされたような発言であったので、忘れられる訳も無い。 何があったのか、何故そんな事を言われなければならないのか、さっぱりだ。 ただ何も言い返せず、突っ立っていただけだったと思う。 一言だけ笑顔で言って、先生は部屋を出て行ってしまった。
無論、母親には何も言えず、けれど原因らしき物は 割と直ぐに発覚した。 前日に父母懇談があり、その際 「何か質問などありましたらどうぞ」と教師が言って 母は「靴下は白とワンポイントと言う事ですが縞の1本くらいなら良いのでは 無いでしょうか」と言ったような事を言ってしまったらしい。 すると担任は皮肉っぽく笑って「それは学校側に言って下さい」と応えたんだ そうである。お前は何側だ。 そんな、言ってもせんない事を〜とも思うが、「白い靴下やワンポイントは割高で 縞入りなら安いのが幾らでもあるのだ」 と言うのが母の理屈だった。 うちは貧乏だったからさ・・・。 自分の娘を基準にしちゃあ駄目なんだよ。縞を許せば、色物もオーケーと言う事に なり、柄物、フリル、挙句の果ては踝が見えるソックスとか、は当時は無かった けどね。
その話を聞き出した時、原因はこれだと直ぐに解った。 母の発言の何かが彼を 非常に怒らせたのだ。 それに対するリアクション(仕返し)が 前述の一言であったらしい。
結局、母にその話をしたのは私が30を過ぎてからだ。母は驚いて「何故その時 言わないのか」と怒ったが、言えるだろうか? 私は言えなかった。 だが忘れた事は無い。その教師のやり口は 見事に成功したと言える。
彼が半殺しの目に遭ったと聞いたのは高校時代であったか、高校を卒業した頃 であったと思う。当時の赴任先で、数人の男子に呼び出され、堂々と出掛けて行って 大怪我を負って 入院したと言う事であった。 校内暴力と言う言葉が、まだ盛んに使われていた頃だが、どうやらそれは校外暴力 であったらしい。リンチである。 他の教師であれば、後輩の無茶に顔をしかめたかも知れないが、その時の私の反応は ・・・・・・・・・(苦笑) こんな感じであった。
言っちゃ駄目な事を言っちゃったんだろう。相変わらず。 かなりの大怪我であったらしいから、少年たちは殺す気で掛かって行ったのかも 知れない。殺したくなるような事を言っちゃったんだろうなあ。 だって、教師相手にそこまでって話、当時でも余り無かったもん。
守りたい物は誰にでもある。餓鬼だからって なめちゃあいけない。 少年少女に殺意を植え付けてどうするのかって気もするが、私たちの時代にも 普通にそう言う、厳しいと言うのとはまるで違う 困った教師はいたんだよね。 しかも当時30代前半であったから、未だ現役かも知れない。
授業中にまで頻りに自慢していた、後に国立大に入った一人息子も いい歳だろう。 多分、教師にはなってないね。自慢の息子に自分が何処か本心では小馬鹿にして いた職業に 就いて欲しいと思うわけも無いんじゃないかな。
あ、でも良い先生も沢山いましたよ。・・・付け足しっぽいですね。 保健室登校ってのも、当時は無かったな。 マラソン大会でゴール前でぶっ倒れた男の子が 保健室の先生のマウストゥマウスで 息を吹き返して、その一部始終を見ていた全校生徒が大興奮と言う話はあったけど。 保健室と言う言葉以外は全然関係ないですね。
|