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小学校に通い始めて数日経った。 お兄ちゃん、お姉ちゃんに連れられて毎日元気に登校しているが、学校では 一日一回、必ず泣いていると言う。 「今日も、泣いた」 自己申告だ。言うだけ良いのかも知れないけれど...。
今日は泣かないで帰って来ようねと約束をして出掛けて行ったが、帰って来て いきなり「今日も、泣いた」
聞けば女の子から「カンチョウ」を食らったと言う。お尻の穴に指をぴっと やる、アレだ。(アレと言っても子供以外は 余り普通はやらない事だが) そのくらいで泣くなよう。 「他にも泣いてる子とか、いるの?」 「いない」 他所の子は他所の子、それぞれで良いではないかと思っていても 「泣くから余計にからかわれるんだぞ、泣くなっ」 と言ってしまったら泣いた。 慣れない場所に慣れようと、彼なりに奮闘しているのだろうが。
息子が妙案を授かったような事を言う。「これでもう大丈夫」 案を授けたのは母(祖母)だと言う。何となく心配になったので 「どれ、その案とやらをやって見てご覧」と言うと「泣きそうになったら〜」 と言いながら 息子は下を向いた。
「い〜ち、に〜、さ〜ん、し〜」 カウントしている。しかも遅い。 「は〜ち、く〜、じゅ〜」そして顔を上げてにかっと無理矢理な顔で笑った。 「こうする」 却下〜っ!却下、却下!何だそれは。 そんな、親ですら「面白いから、もう一度泣かしてみようかな?」 などと 思ってしまうような案を授かってどうする。
活発な子もいる。口の悪い子もいる。うちの息子のように意味も分らないのに 人を傷付けかねない言葉を使う言葉を使い切れていない子もいる。 どの子も発達の途中であり、連日泣いているからと言って即いじめられている とか、そう言った事にはならない事は分る。 まあ ボス争いみたいな事はそろそろ起こるのかも知れないが。 とにかく、毅然とした態度は必要だろう。 家庭の教育方針も色々であり、「やられたらやり返せ」と頼もしい教えの お父ちゃんたちも結構多い。うちは「手は出すな」と言ってしまって来たので 「口を出す」子供になってしまった。 しかも「もう絶交だあ」とか泣きながら言うらしい。かえって情けない。 とは言え、やっぱり叩き返せとは言えなかったので 「男の子には『やめろ!』、女の子には『痛いからやめて』と毅然として 言いなさい」 と言っては見たが、余り毅然とはしてないな。特に女の子に。 でもなあ、女の子って結構すぐ泣いちゃうんだよ、自分がそうだったしさ。
そう、私はひどい泣き虫だった。 小学校3〜4年まで泣きっ放し。中学になったら自然と泣かなくなった。 高校生の時には人が泣いていても場合によっては無視する嫌な女になって いたし、現在はドラマを観た時くらいしか泣かない。 放っておいても泣かなくなるのだ。もしくは泣けなくなるのだ。
泣く泣かないより、友達とちゃんと話しが出来たり遊んだり出来る事の方が 大事なのだと言うのは理屈ではちゃんと判ってるつもりなんだけど。 明日も多分 「今日も、泣いた〜」 で帰って来るんだろうなあ。 もう叱らないぞ。叱っても意味ないや。 車に気を付けて道を渡る事をしっかり覚える事のが、目下ずうっと大事かも。
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