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夏休みも終盤。 また水族館へ行く。 私は水族館が、実は大好きだ。 イルカショーとか海獣ショーとかの大物も悪くはないが ただ、不可思議な動きをする不可思議な形をした極彩色の生き物を ずううううっと見ているのが好きなのだ。
だが息子が生まれてからは ずうううっと見ている事は出来なくなって しまった。 息子も水族館が好きだが、私は小さな魚が好きで 息子は大きな魚が好きなのだった。 野放しにも出来ないので、付いて歩く。
今日出かけたのは家の近所の小さな水族館だ。 さすが夏休み、普段は閑古鳥が鳴いている(入場料が800円もするから) 癖に中々の盛況だった。
エイ、クラゲ、カメ。 この3つは、親子ともに好きなので水槽の前に長く立ち止まりたいが 冷房が効きすぎなのと 後から後から家族連れでつかえている。
子供達の休みには何らかの催し物をする。 今回は水辺の生き物たちと言う大変に地味な催しだった。 確かに絶滅危惧種なのかもしれないけど、どう見ても小さなドジョウだし。
この催し物、大抵は私の心にヒットする物が多かったのだが。 今まででは「世界の珍しいクラゲ」「世界の珍しいカエル」などがあった。 クラゲ特集は息子に大うけで、カエル特集は私に大うけだった。
ちょっと地味な「水辺の生き物」 だが呼び込みはもう一つあったようなんである。 ドクター・フィッシュ。 ガラ・ルファと言うコイ科の小魚だ。これには面白い性質がある。 書籍「へんないきもの」にも登場しているが、この魚、人間の皮膚を 突いて食べるのである。 しかも高温(35度くらいまで)でも生きられるので、トルコでは これを温泉に飼って、皮膚疾患の治療(水虫とか)に利用している。
「!!!!!!」
素晴らしい、手が突っ込めるようになっているではないか。 ドクター・フィッシュに突いてもらう、滅多にないチャンスだ。 だが子供が列を作っている。 「きゃあああっ痛い痛い痛い!」 5歳くらいの女の子が突拍子もない 悲鳴を上げた。 なに!これは痛い治療なのか?? 「魚がかんだ〜」 魚と言ってもメダカをちょいと大きくした感じ。でも確実に手に寄って 何かしている。 女の子は逃げるように行ってしまった。 次は私の順番である。わくわく。 ちょっとくらい痛いのは平気。 大人だから。 どのくらいのパワーなのか。甘皮を一気に剥ぐくらいか?痛いよそれは。
「・・・!!!!!!」
大変な量の魚が集まって来た。手を入れる場所は2箇所あって たまたま向かいでは息子が手を突っ込んでいた。 太った小さな手より、貧相でも大きな手に寄って来るらしい。 気持ちいいいいい〜〜〜〜〜っ何て言うか、これはいいです。快感です。堪らん。 痛いとかでは全然なくて、こっそり触る感じ。海草の中に手を潜らす ような、精神的にも非常に良い感じ。 見ると向かいで息子が奇声を発していて、やっぱり快か不快しかないよ〜な お子ちゃまには、これは早いと思った。
出来ればあと20分くらいやっていたかったが、気が付けば行列。 さっさと避けた。
そのあとは何を見ても何を見ても頭は医者魚の事ばかり。 水槽には更に長い行列が出来てしまい、とても後ろに付けそうもない。 いや・・・一人だったら気長にまた並ぶんだけど。 その後私が発した言葉はハコフグをみて 「こう言う顔の人、いるよね」 くらいだったと思う。
温泉でまでは入りたくないが、お手手の先ならまたなめて欲しい。 そんなドクター・フィッシュであるが、ブーム、乱獲となると頂けない。 トルコの温泉場まで出掛けて行くか、管理のしっかりした水族館の 呼び物程度で我慢した方がいい。
温泉と言えばサカサクラゲの展示があった。 正に温泉マークなわけだが、あんなレアな物を湯気のマークと結び付けて 呼んだ初めの人は誰だったのだろうか。
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