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朝起きてみると、手のひらに何かの感触が残っていた。 多分 人の手の感触なのだろうけれど、感触の残る夢は、少なくとも ここ数年、ほとんど見た事はないので珍しい事だと思った。
普段は夢の内容を憶えていて、それ以外を忘れてしまうのだが 今日は 感触だけが残って、夢の内容を忘れてしまっている。 大きくなった息子の手なのだろうか? と思ってみる。 どうもそんな気がしない。 どうせ夢だし、いっそ氷川きよしとか 身に覚えのなさ過ぎる人の手なのかも知れない。
この頃、本当に少しずつだけど、人前に出たり 環境が変わったので 夢の方でも内部の小さな変化を報せてくれているのかも知れないな。
基本的に 叱られない日は毎晩、息子は寝しなに お話を1つ読んでもらえる。 どの話を読むのかも、自分で決めていい。 だから結局、同じ話ばかりになってしまうのである。 とほほ。 息子の目下の一番のお気に入りは「片足ダチョウのエルフ」と言う話だ。
大きくて力の強い若い雄ダチョウのエルフ。 (動物仲間の)子供が大好きで、背中に乗せて散歩したり 仲間の信頼の厚いダチョウ。 ある日、襲って来たライオンから仲間を守って、足を1本失った。
はじめのうちは仲間が少しずつ餌を分けてくれた。 「けれども、それぞれ、じぶんたちの かぞくのことだけでも たいへんなのです」
簡略かつシビアな表現だ。 エルフは木の根っこや石ころを食べる。ハイエナに「早く餌になれ」 ハゲワシに「早くたおれてくれ」と急かされる。 エルフはじっと立ったまま ポツリと涙を一粒、落とす。
ある日、今度は黒豹が登場。 逃げ遅れた子供達がエルフの背中に避難して、エルフは最期の力を 振り絞って戦い、黒豹を追い払ったあと、大きな樹になって立っていた。 と言う、そう言うお話。 エルフの木の下には小さな泉があり、エルフの涙で出来たのかも 知れませんねってオチがついてる。
もう20回くらい読んだ。読めば読むほど、息子はこの話が好きになるようだ。 自分をエルフに重ね合わせているのかなと思う。 ストレートなヒーロー願望がまるでない子だったので(戦隊物とか) ちょっと心配していたが、いきなり自己犠牲とは贅沢な。
真っ先に逃げるタイプの癖になあ〜って言ったら泣いちゃいそうだ。 憧れるんでしょうかね、これも一つのロマンってやつか。
あ、ダチョウの名前のエルフで妖精を連想した方 アフリカの言葉で1000の事をエルフって言うんだそうです。 一走り1,000メートルだからこの名前なんだそうです。 私も初耳、初め耳の尖った種族を連想しました。
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