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インコのおーちゃんが死んで1ヶ月が経った。
部屋の中には息子が趣味でデジカメで撮っていたおーちゃんの写真が まとめて貼り付けている場所もあるのだが、恥ずかしながら 私は いまだにそれをまともに見る事が出来ない。
実はおーちゃんの事を思い出しただけでまだ泣いてしまうので 思い出さないようにしている。
息子も含め、今は一緒に暮らす家族より、おーちゃんといた時期の方が 4年長かった。 その4年の間、何度もおーちゃんに話しかけたものだ。
「お前が、人間だったら良かったのにね」
彼はただ真っ黒な(ふちは白い)目で黙ってこちらを見返していた。 どんな夜中でも、どんなに激しい物音がしても、鳴く事も 暴れる事もせず 私が泣いていた時は、その涙が美味しいらしく(塩辛いので) 舐めに来るのだった。
おーちゃんが、華奢な指にも全く攻撃せず、息子の良き友達として 晩年を送ってくれたのは、彼自身も やっと安住の地に辿り着け それは、この小さな子供のお陰でもあったと言う事が、判っていたかの ようである。
おーちゃんがずうっといた居間の隅は、直ぐに片付けられて 籐のスツール が一つ、ぽつんと置かれている。
クリスマスが近付き、例によって光物大好きな家族で飾り付けたが 数日前、息子が 「みせたいものがあるから」 と言うので行ってみると おーちゃんのいた場所にクリスマス飾り第二部が作られていた。
それは100円ショップで買った飾りと、ガシャポンで買った光物系ばかり 溜まってしまった玩具で出来ていた。祖母と息子で作ったらしい。
そこは息子にとって「空いた場所」なのか「おーちゃんのいた場所」 なのか、訊ねてないから判らない。
ただ息子が決めたおーちゃんの誕生日は12月24日だった。
(実際は夏仔なのでおそらく6月辺り)
☆微妙な飾り、科学実験道具まで総動員した光り物。 スツールの上にあるツリーもどきは、息子の学習発表会の 魔法使いの帽子です。

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