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バレンタインデーだった事は置いといて、ひどい吹雪だった。
お正月、庭に花が咲いてるのをみて「このままでは済まないだろな〜」 とは確かに思ったけど、厳しい。 厳しいよ風邪引いてる時の運転は!(泣)
息子を音楽教室まで迎えに行く途中の事だ。 非常に視界が悪い中、道路の真ん中で集団で立ち往生している人が。 女子高校生らしい一群だ。
歩道は雪が積もってる、だから車道を歩いていたのだろうが 吹雪で前が みえず、遭難の一歩手前らしい。 困ったね。 彼女らが自力で何とかするまで少し待ってみた。後続車もいないので。
その時気付いた。 彼女らは揃って素足であった。 知ってます、判ってます。 生足って言うんだよね、今は言わないの? その素足が、真っ赤になっているわけです。 だって零下だし。 4〜5人の女子高生の凍傷寸前の生足。 痛々しい。 多分感覚なんてなくなって動けなくなっているんじゃあないかと。
日本列島は縦に長い。真冬に素足は無理だろうって地域もあると思う。 でもどこからがそうで、じゃあどうする?ってなると、冬は厚いタイツ 履いて学校通えてた経験しかない私としては想像も付きません。 自分だけタイツ履くねって言えないっぽいもん。全員素足だもん。 スカート丈もコート丈も短いしね。 小学生のほっぺの色の足・・・ううう〜
と、かなりの時間が経過した。女子高生は動かない。 いや、少しずつは前進してるわけだけど、真後ろに車がいるのに 非常にゆっくりであり、振り向いて気にする様子の子もいない。
み
仕方ないから、禁忌のクラクションを短く鳴らす。 彼女らは一斉に飛びのいて、それまでとは全く違ったスピードで路肩に 寄った。視界が悪いから、みえないって事はある。 でも夏でも これをやるまで車道の真ん中に 挑戦的に歩かれてる事も あるからな〜
息子はペンギンのような完全防備だがそれでも寒そう。
車内は女子高生見物で時間をとってるうちに、何時の間にか暖か。 レンタルして来たCCRをかけながら帰り道も慎重運転。
「これなんて曲?これなんて曲?」 息子は気に入ったらしい。
「雨を見たかい」で晴れた日に降る雨を見た事があるか?ってあれは ナパーム弾の事だとどっかでみたっけ。
「Have you ever seen the rain」 ぶっきらぼうに答えて、信号のない薄暮の横断歩道に目を凝らす。
黙って聴いている息子とあっと言う間に家の前。 行く時の女子高生軍団は、難を脱したのか姿がなかった。
「『雨をみたかい』って言うんだ。この曲は」
言い直してから息子を追い立て、暖かい家の中へと帰す。 一寸先も見えなくなっているが、もう一周して来たい誘惑を振り切り 熱っぽい身体で、私も家に戻った。
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