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2007年02月23日(金) 呼び水。


おまえは首が短いな
おまえだけ顔は歪んでいるから口は開けない方がいい
ひどい猫背だから、人前に出ない方がいい


どれも同じ人に言われた。20代前半の事だ。

怒ると言うより、言われた事がない事ばかりなので驚いた。
それとなく周囲に確認してみる。首は短くないと言う事であった。
本人を前に事実は指摘しづらいだろうと言う向きもあろうが
私自身 首の長さは、今もごく平均的だと思っている。

顔が歪んでいると言うのは、当時女性コーラスをやっており 定期演奏会を
みに来たその人の、感想の第一声がそれであったのだ。
これも、人間の顔はほとんどは左右対称じゃないからねと言う当たり前の
話になった。こんな話しになると、自分の顔が歪んでいないと言い切れる
人はいないので、自分の事を指摘されたように、聞いた人も腹を立てる
ようであった。

ただし猫背は本当である。人前に出るのが問題があるほどかどうかは
別として猫背はちょっと気にはしていた。
ただ、これは外科的な原因でなければ簡単に直る。背筋を付ければ
良かったのである。猫背を直すためではなかったのだが、のちのちたまたま
背筋を付ける機会があったら、猫背が直っていた。

短い首を 着こなしで目立たないようにさせる事は出来ても 首自体を
伸ばす事は絶対に出来ない。

顔が歪んでいるから口を開けるなと言われても困ってしまう。
だからどうしろ、と言うのでもないのだから余計に困ってしまう。


その人は足が短く、鼻が曲がっており、音痴であった。
私もそうだと感じてはいたが、案外無遠慮な周囲がはっきりと私に指摘
してくれたので、他人からみてもそうなのだなと思った。
短い足は、格好悪いけど伸ばす事は出来ない。鼻だってそう言う鼻なのだ
仕方ないのである。
ただ、個人的には音痴が痛かった。
耳で反響する音と、実際に響いている音は少し違う。だから慣れないと
ちょっと音程が不安定になったりする事がある。 今はカラオケがあるので
こう言う歌慣れしてないプチ音痴はほとんどいなくなったのでは
ないかと思う。
その人は リズムも音程もぐしゃぐしゃで、しかもずれている事に全く
無関心な真性音痴な人だった。聞いた人が吹いちゃう事もあったので
それは正直恥ずかしいなと思う事もあった。
またそう言う人に限ってカラオケでは浜田省吾とか長い歌を好むのは
何故なのだろう
と考えた事もあった。

何も言わなかったのは、言っても何も良い方向には行かない気がしたからと
きっと、彼自身20何年生きて来て、暗に、時にははっきり、感じさせられ
判っているのだろうと考えたのもあった。

言われて良い思いをするはずがない。
だから自分も言わない、となるはずが 言われる前に言うになったのか。

この短足鼻曲がりの音痴!

と 言われた時即座に言い返した方が良かったのかな?と考える。
言い返す事はなかったのだが、短足も曲がった鼻も音痴も、それでいいもの
ではなくなって行った。

受け入れない事(否定する事)が 相手からの否定の呼び水となってしまうのだ。
いつまでも残る、お互いに愚かで哀しい記憶である。

   ☆            ☆


知り合いが歌のファイルを送ってくれた。
KOKIAという人の「人間ってそんなものね」と言う曲が入ってた。
若い人向けのメッセージソングではあるが、歌詞にはどこか普遍的な
ものがあって、今の自分を勇気付けてくれた。

歌は声であり、言葉である。

表現出来る人は素晴らしいし、それを共有出来る事もまた素晴らしい。









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