友人Tが所属している劇団の公演を見に行った。
劇場はこじんまりとしていて200人も入らないところだったが、その分出演者との距離が近く、座った席が前から6列目だったこともあって、臨場感にあふれていた。
劇は映画よりもエネルギーに満ちている気がする。 そして、見ている間にいつの間にかそのエネルギーをもらっている。 観劇はストレスの解消や、落ち込んだ気分の回復には最適な方法かもしれない。
それにしても、学生時代に比べると映画や劇に対する自分の見方はかなり変わった。
苦労知らずの坊ちゃん学生のときは、自分で振り返っても恥ずかしいが、批評家気取りで、この作品が伝えたかったことはこういうことだとか、この表現方法がすばらしかったとか、そんなことばかりを考えながら見ていた。
今考えれば、何て小賢しい思い上がったことをしていたんだろうと思う。
今は、作品そのものについてどうとかはあまり考えず、むしろそこに出演している人や、作品が出来上がるまでの経緯のような、作品の背景を考えるようになった。
この人たちは普段どんな練習をしているんだろう。どんな夢を持っているんだろう。このセットを作るのは難しかったんじゃないか。 そんなことをあれこれと想像するようになった。
そうすると不思議なもので、批判めいた気持ちは全く湧いてこない。むしろ応援したい気持ちや、共感が生まれきて、それが楽しさにつながる。
観劇の後、一緒にいた友人Oと、その日の公演を終えたTとを交えて食事をしたが、楽しく会話することが出来た。
もしこれが学生時代だったら、ついあれこれと劇のことを語ったりして、Tに不快な思いをさせてしまったかもしれない。
そう思うと、見方を変えることができたのはラッキーだった気がする。
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