きっかけは ほんの小さな事からなのかもしれない。
あの日 春一番に乗って 空高く舞った後 川へと飛ばされた 帽子
ひさしぶりのお天気 ひさしぶりの穏やかな空気 ひさしぶりに聴く笑い声 見交わす 笑顔 笑顔。
立ち尽くした後 それでもやっぱり 今度はデニムの帽子を買った
それが雲の切れ間から 一筋の日が射すようなものだとしても しみわたるように嬉しくて 嬉しくて。
同じものなんて無い 同じであるはずも無い 失くしたものは ひとつ 戻らないものも ひとつ
小さなきっかけを こうして積み上げていくことで。
だけどまた帽子を被る これからも飛ばしてしまうかもしれないけど
わたしたちは いつか 家族という名の絆を 結びなおせるのかもしれない。
それでも帽子を被ろう
失くしたものを忘れてしまうんじゃなくて
きっと もう一度
想いだす ために。
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ゆうなぎ
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