2005年05月23日(月) |
エコノミカル・パレス 角田 光代 |
雑文書きが主な仕事の34歳のフリーターは、レストランでアルバイトもしている 同棲中の恋人は「年下の正社員にはプライドの高い無能として遠巻きにされ、年上の正社員にはインテリ系アルバイトとして馬鹿にされ・・・それでもまぁ正社員になれるならよかったんだけど・・・・」といって失業する
シンガポールを皮切りにアジアを二人で一年くらい旅行していたときに知り合った男とその恋人が転がり込んできたり、壊れたクーラーの買い替えにはじめて消費者金融を利用したり私には考えられないような今の若い人の生活だ そんな彼女の前に20歳の男性が現れて 少々心乱される
4万数千円プラス3万円の借金、住民税と国民健康保険料、国民年金保険料と公共料金も未払い、親と離れて暮らすフリーターの一般的な(・・?)生活だろうか・・
私とヤスオは婚姻関係で結ばれているわけではない。社会的しきたりとは無関係に、ひとりとひとりとしていっしょにいよう、と決めてともに暮らしているだけなのだ。今までだって私のほうが多く経済的負担を背負ってきたとはいえ、彼を養うほど甲斐性、もしくは気概があるわけでもない。だから、最悪の事態に陥ったらひとりここを立ち去ればいいだけの話だが、それは数多ある選択のひとつというよりも、選択から漏れた最後の結果に思える。
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