読書記録

2005年07月03日(日) 火垂            河瀬 直美

 ヒガシヤマ ダイジ

 ミズサワ アヤコ


もしも感情を持たないガラスのような冷たさで、目の前で起こっている出来事にただ流されて生きてこられたなら、歪んだ心で世の中を見る目など持たずにいられたのかもしれない。もっと素直にもっと清らかに私は生きていたいと思いながら、その反対側でいつも何かをはすかいに見ている。そうすることが私なのだと決めつけ、世界を敵にまわし、それと戦うことでやっと自分の存在理由を見出しているのだ。



奈良を舞台の白黒の映像を見ているような気がした。

何故か 主人公のアヤコに私は娘を思った。
もちろんアヤコと娘は境遇も生い立ちも何もかも違うけれど、こころを流れるものが同じだと思ったのだ。
作者の心の表現がとても正直で美しいとも感じた。


10年ぶりに思いついて郷里を訪ねるとばあちゃんが死んでいた。そのばあちゃんの通夜の場面で私は涙した。私自身アヤコに何を重ねているというのか・・。

願わくば 娘に大司のような男性の現れることを祈る。








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