読書記録

2005年07月05日(火) 萌えの朱雀        仙頭 直美

奈良の山村で両親や祖母、いとこの栄ちゃんと暮らす、みちるの夏の物語。長く携わってきた鉄道建設が中止となり、張り合いを無くした父が、みちるが18歳の夏祭りの日に自殺。家族は静かに崩壊していく…。静謐な日常をとおして、少女は受け継がれていく「生」の意味を知る。カンヌ映画祭の最優秀新人監督賞受賞作を、監督自ら小説化。

人が生きて死を迎えるまでの間には、数えきれないほどたくさんの出来事がその周りで起こり続けるのだろう。これまでも、これから先も。そして幾度もの苦悩にぶつかって、その時々に精一杯の自分で乗り越え続ける。それらの日々の確かな記憶が、自分を創り上げ豊かにする。


奈良出身の作者による奈良が舞台の映画だということは知っていたけれど残念なことに見ていない。本を読んだ今となっては悔しいとしか言いようがない。静かな日常のほのぼのと暖かい描写を見てみたい。
この本の前に読んだ『火垂』ともども、この作者の自然な描写がとてもすばらしい。私の子供のころの日常をたっぷりと思い出させてくれて『ほんとにありがとう』という気持ちでいる。
やっぱり 『奈良』 っていいなぁ!


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