読書記録

2005年11月07日(月) 間宮兄弟         江國 香織

 酒造メーカーに勤める兄、明信は35歳で貧相な体型
弟の徹信は学校職員でやや太めで32歳
男二人が兄弟で仲良く平和にふたり暮らしをしている
冴えないふたりはどちらも恋愛経験がなく 女の子にじれったいアプローチをかけるが何にも起こらない
もう 女の尻は追わない
そう決めた日から、すべては俄然平和になった
俄然平和に、そしてびっくりするほど美しく

物語は夏からお正月過ぎの半年の兄弟を書いている

世の中には もてない男も女もたくさんいるのだ
開き直るというのでもないけれど もてなくてもいいのだ
私ももてない部類の人間だから つくづくそう思う
ひとりで夢中になれるというか 心か満たされるものがあればいい
その点 この兄弟はお互いを理解し認めて仲良く暮らす
いいじゃないの
同性の兄弟のいない私はむしろうらやましい!


徹信の行動は素早かった。逡巡すれば動けなくなることを、経験から知っているのだ。ジェットコースターがいい例だ、と徹信は考えている。恐いのも、手に汗をかくのも、乗ったことを後悔するのも、ゆっくりゆっくり登っていくあいだではないか。いざ滑降が始まってしまえば、もう恐くはないし、汗も後悔も文字通り吹き飛んでしまう。


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