2006年01月22日(日) |
紅蓮の女王 小説 推古女帝 黒岩重吾 |
現代社会のひずみや現代人のエゴと欲望といった面から人間を凝視してきた作者が、自身の子ども時代をすごした高松塚古墳の発見から古代への夢と ロマンに惹かれて取り組んだ作品だ
後に推古女帝となる炊屋姫(かしきやひめ)の人間像もさることながら、蘇我馬子という人物の政治性をうまく書いている 馬子は相当な政治家だったようで、姪でもある炊屋姫の女としての情念を巧みに利用して、強敵の物部氏をほろぼし、さらには蘇我氏を大王家にとってかわる存在のまで押し上げることを狙っている
どの作品にもいえることだが作者が登場人物というか主人公にほれ込んで、人間的な共感をイメージとしてふくらませて書き込んでいくようだ それは読み手にもいえることで私などはいつも主人公に感情移入してしまうので、読み終わったときは疲れもあるし、達成感のような思いもある 作者がいっているように歴史は人を溺れさせる危険性を持っている、とあるが私も古代のロマンにひかれつつある
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