| 2006年09月11日(月) |
石川 節子 澤地 久枝 |
愛の永遠を信じたく候
十四歳のときの初恋の人・石川啄木と結ばれた節子は、誰よりも早く彼の天才を信じた人だった。 二十歳で結婚して二十七歳で亡くなった短い生涯は病気と貧困と家庭不和に脅かされ続けた。 命がけの献身によって啄木の芸術を支えながら、生活に追われて心は次第にすれ違っていく。 タイトルは石川節子になっているが、やはり石川啄木の物語だろう。 私は石川啄木の作品が好きでこの本は25年も前に自分で買ったものだが、どうしたことか読んだ記憶がないのだ。そういう意味では節子の存在も新鮮だったし、啄木の生活破綻者ぶりにも少々驚いた。借金まみれの人生で、男の身勝手さと人間的な弱さをかなり持っていたようだ。 啄木を美化していたわけではないけれど、正直読まなければよかったぁ・・という思いもしている。 作者はあとがきで 長い旅をつづけてきて、まだ目的地に到達し得ていないような気がする。もっと書きたいこと、書かなければならないことがあるのに、わたしの中のなにかが、それを切り捨てさせたというような、あとをひく思いもある、と書いている。 それは読み手も何気に感じることだ。 生身の節子の姿が何となくぼやけているような・・・。
啄木の葬儀は明治45年4月15日に浅草の等光寺で営まれた。 (亡くなったのは4月13日だが、明治45年4月15日というのは私の父が生まれた日である。それがどうした・・と言われそうだが・・・) ということは今年は啄木が没して94年ということになる。 あと6年で没後100年になる。
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