元本も文庫も絶版になっていたようで 私の読んだのは愛蔵版だそうだ
花と男と女とそして死とにまつわる短いお話が綴られている
私が思うに最近のちまたの花は和花が少なくなって、洋花というかカタカナで現すお花が増えてきたように思う ガーデニングというような表現をされるサフィニァ、ペチュニア、ベゴニア、マーガレット、ハーブ類・・・などなど どれもこれもキレイなお花だけれど、私が子供の頃に親しんだ和花が忘れられていくような何気に寂しい思いでいる でもこの本に書かれているお花は漢字で表現する和花が多い 冬薔薇、梅、鬱金桜、けし、桔梗、女郎花、柊、しだれ桜、石楠花、てっせん、曼珠沙華、枯蓮、水仙、沈丁花、ライラック
ライラックの章は作者自身の若い頃の話そのものか・・ 北京にさいていたライラックを思い出してのお話だが、私は作者とほとんど同じ時期に満州にいた母を強く思った 作者より二歳くらい年上の母も満州でライラックを見て、おなかの子供に語っていただろうかと・・
あなたに愛された日から、私の花が変わったとしても当然でしょう。私にはそれまで目に見えていたものがすべてだと思っていましたが、肉眼には映らない他のものが、まだこの世にはみちみちていることがわかりはじめました。心の眼が開いたということでしょうか。 花のひとつひとつに宿る精霊の声が聞こえるようになったのです。 枯蓮の章より
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