| 2006年12月08日(金) |
花橘の乱 (かきつのらん) 石川 能弘 |
在原業平異聞 とある
異聞ということは・・・そしてこの作者はミステリー作家だそうだ
在原業平が藤原良房の子であり56代清和帝の后であり、陽成帝の母である高子と恋に落ちたことはあまりにも有名である そして 伴善男が応天門炎上の放火犯として伊豆へ配流されたことも歴史の事実である それらをうまく組み合わせて、そして兄の太政大臣藤原良房と弟の右大臣藤原良相との兄弟の確執もうまく取り込んでいる この兄弟の確執は世間的に見れば古今東西の常識・・?的に私としては感じるけれど、先に読んだ『山河寂寥』にはそのことはみじんも書かれていなかった まぁ どの書き手にもテーマとすることは違うだろうから、近いうちに『山河寂寥』を読み返してみようと思う
老いぬればさらぬ別れのありといえば いよいよ見まくほしき君かな 老いてくれば、誰にも逃れることのできない別れがある。それを思うと、ひとしおそなたに会いたい━。胸を抉られんばかりの思いになった業平は、すぐさま馬に飛び乗ると母の許へ向かった。その道すがら、
世の中にさらぬ別れのなくもがな 千世もといのる人の子のため そのような別れなどなければよい。母上には千年も万年も、子である私のためにいつまでも生きていてほしい━。
ついにゆく道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは思はざりしを
業平 辞世
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