読書記録

2006年12月26日(火) 魂萌え           桐野 夏生

 最近 テレビドラマ化された物語

主人に頼りきっていた57歳の主婦が突然心筋梗塞で63歳の夫を亡くす。
夫が死んだ、という実感がないままに、通夜や葬式が勝手に進行していく。胸の中が空っぽで、思う存分泣きたいと思っていても、その力さえもなかった。
だのに夫には十年来の愛人がいたのだ。
そして夢に取り付かれてアメリカに渡って連絡もしなかった息子と、コンビニに勤める恋人と同棲している娘は財産分与を言う。
夫の愛人だった女性とも会い、夫の趣味だった蕎麦打ち仲間の男性を意識したりで、主人公はだんだん強くなっていく。

まぁ ありそうな話ではある。(亭主に愛人がいたことを例えば妻の知らない借金があった・・・なんて話に置き換えたりして)
読みやすい物語だったというだけのことか。
前に読んだこの作者の『OUT』という物語も主婦の4人組みがメインだったけれど、今回の『魂萌え』も高校の同級生という4人組が登場する。どうもこの作者はオンナの4人組が好きらしい。
でも『OUT』の主人公は最初から強かったけれど、この『魂萌え』の主人公は物語が続くにつれてだんだんに強くなっていくようだ。

独りでいるということは、穏やかで平らかな気持ちが長く続くことなのだ。人に期待せず、従って煩わされず、自分の気持ちだけに向き合って過ぎていく日常。そういう日々を暮らすのは、思いの外、快適かもしれない。







 < 過去  INDEX  未来 >


fuu [MAIL]