読書記録

2007年01月05日(金) 天皇陵伝説          八木 荘司


 日本の古代史を覆す仁徳天皇陵の秘宝が朝鮮半島から帰ってきた。アメリカに流出した出土品とあわせ、「仁徳天皇陵・奇跡の秘宝展」開催で爆発的ブームをもくろむ新聞社の事業部員権藤と高宮の二人。そして館長秘書の里見あずさ。だが 秘宝は開幕直前、ある右翼団体によって仁徳陵に埋め戻されてしまう。窮地に立つ二人のまえに現れたのが、「北」の秘密指令を受けた工作員だった。さらに主催者のひとりである大仙歴史博物館館長が拉致されたうえに殺害されてしまった。
そして最終的に「奇跡の秘宝展」は開催を中止したのだ。

北朝鮮による一般人の拉致もヒントにしながら、最終的に外貨獲得をもくろんだ北を悪者にしたてた作品になっている。
私は 朝鮮半島からの秘宝とされる瑠璃碗のことは、秋に見た正倉院展に展示されていた美しい緑色の瑠璃碗を想像している。
さらに興味を注がれるのは、一般人の誰も足を踏み入れたことのない世界最大の前方後円墳といわれる仁徳天皇陵の描写が 面白い。

そして 最後はまるでどんでん返しのように権藤と里見あずさが結婚して、北へ向かうのだ。
またしても題名にひかれて読んだ本だったけれど、これはミステリーだったのだ。この本を読むまではこの作者を知らなかったけれど、日本の古代を書いた物語も多いようでなかなかに面白い歴史の解釈を教えてくれそうだ。






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fuu [MAIL]