絵を書く人のヌードモデル、元ボクシングチャンピオン、そしてOLの3人が弱った心を抱え、占い師を訪ねて地下室に閉じ込められた 最初はいがみ合う3人だったけれど、お互いの心のうちを語るうちに共感力のようなものを感じていく濃密な夜を過ごす
同じ経験をしている者同士なら、ごく当たり前に話題は広がっていくだろう。でも、そうではない人たちに話しても、傲慢に思われ、無意味な反発をかうだけだ。慕うようなまなざしも愛らしい笑みも、けっして信用してはいけない。 人は、嫉妬と卑屈さのかたまりだ。 もちろん弱い者や運のない者、可哀想な隣人にたいしては寛容に振る舞う。他人の不幸に、利害がからまないかぎり聞き手はいつだって神の視点に昇る。悩みを相談されれば親身に聞き、ときに一緒に涙する。援助もする。そしてこんなに優しくなれる自分は、なかなかよい人間ではないかと満たされる。
題名の『裸の桜』というのは、春にはキレイな花をつける桜の木が『いびつに枝をくねらす冬の桜』こそ、ほんとうの桜の姿だということだろうか 折しも桜の季節・・ ふだんは気にもとめない木々がキレイな花をつけて、実は桜でしたと自己主張する 日頃は誰にも気づかれずにあたりの緑に埋もれているが、この季節だけ自分の存在を主張する 桜の名所といわれるように何本もの桜が咲き誇る景色よりは、こうした普段は埋もれているような1本桜が好きだ 私もかくありたい・・と思う だけど 私は人の目を引き寄せる何ものをも持たない たぶんこのまま一生 埋もれて生きていくのだろう それが私の人生なのだ・・・・・
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