『ノビカベ』と呼ばれている真壁修一は泥棒稼業をしている 15年前に双子の片割れである弟の啓二が大学受験に失敗してから万引きで警察に捕まって、そのことに悩んだ母親が弟を道連れに心中を図り両親と弟が死んでしまった 発見された遺体の一部が炭化されていたのに、それでもなお火葬場で焼かれることに反発した真壁はそれ以後、泥棒稼業を始めた 生きたまま焼かれたであろう弟を思い、何気に世間をすねて生きている
それにしてもあっちの世界へ行ってしまった弟と心の声なのか、それとも魂の声なのか、会話が成立していることが面白い まったくの作者の想像の世界なのだろうけれど、双子ゆえの発想か・・? 啓二ではなく、修一を選んだ保母の安西久子の存在が悲しいなぁ・・
タイトルの『影踏み』という意味を思ったとき、私が読み終えたあとで感じたのは、自分の影は絶対に自分では踏めない、ということだ
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