| 2008年01月30日(水) |
隠された帝 井沢 元彦 |
天智天皇暗殺事件
いやぁ、面白かったなぁ
私もかねがね思っていたんだけれど『古事記』や『日本書記』が100%正しいわけではないと・・ だって時の権力者に指図されて時の権力者にゆかりのものが編纂して、その時の権力者がチェックを入れるものに本当のことが書けるはずがないのだから まぁ この物語は殺人事件がからんでてミステリーだったけれど、作者の歴史観がよく出ててホント、面白かった。
日本書紀に書かれているように、中大兄皇子(天智天皇)と母を同じくする実弟は大海人皇子(天武天皇)ではなくて、誰か別の人物だった。 天武の息子である舎人親王が編集長として作った書紀に書いてある大海人皇子というのは、天武の即位を正当化するためにデッチ上げられた人物だというのだ。 天智天皇暗殺計画は、新羅国が立案し、天武が実行部隊の指示を取り、栗隈王の協力によって成功した。動機は当時の国際関係の緊張によるもの、いわば百済と新羅の、日本における代理戦争だったんだ。そして一度は親新羅派の天武王朝ができるが、皇族の減少と藤原氏の謀略により、現百済派の天智王朝が復活する。平安京を開いた桓武の母が百済系につながることはけっして偶然ではない。むしろ百済系であるからこそ、天武━親新羅系の他戸親王を押しのけて天皇になることができたのだ。
歴史好きの作者のお陰でこうして歴史の謎に挑戦できる・・ ありがたいことだ!
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