本を読み始めるとき この本を読もうと決めているときと タイトルをみて何気にひかれるときがある この『仇花』はタイトルにひかれて読もうと思ったもので 55歳も年齢差のあるお六という家康の最後の側室の物語だった あの戦国時代はことに男なら戦で勝利して一旗挙げたいと願う人も多かったようだが、女とてそういう望みを抱く時代でもあったのだろうか
争乱のるつぼで生まれ育ったお六は、栄耀栄華を手に入れたい、我が手で天下を取りたい。 恋も財も地位も、すべてを欲しがったがお六からみて高齢だった家康の死去のあとは兄弟として育てられた兄である千之助を思うのだった。
読んでいる途中にこの作者の『月を吐く』という 築山殿のことを思い出していたら、やはり文中に登場してきた 家康は信長の命で殺さなければならなかった最初の妻の築山殿の面影をお六に見たのだと・・。 だからなのか この物語の終りも『月を吐く』と同じなのだ。 物語のなかに 幕末・江戸と題して千之助、お六という同じ名前の夫婦を登場させている。こういうところがこの作者のうまい、というか私が引かれる理由なのだと改めて思ったことだ。
欲は欲を生み、不安を生み、執念を生む。
人生が二度あれば━━━
|