読書記録

2008年09月19日(金) 美貌の斎王           藻里 良子


 桓武妃酒人内親王

奈良朝の最も輝かしい光を浴びた聖武天皇の皇女井上内親王を母とし、天智を祖とする光仁天皇を父として生をうけた酒人内親王は、母井上とそして桓武との間に生れた朝原内親王と三代に渡って伊勢の斎王を務めた。
天平勝宝六年孝謙天皇の御世に生を受け、孝謙・淳仁・称徳・光仁・桓武・平城・嵯峨と七人の帝の政事を見てきたことになる。

奈良に都があった頃の女帝たちは別格として、藤原氏の勢力の前ではいかに内親王といえど影の薄い存在だった。
酒人も輝かしい生まれでありながら、桓武の皇后にはなれず娘の朝原も平城天皇の皇后には立后されなかった。
天皇の側にいた多くの女たちには、当然のこととしてそれぞれの立場での思いや野望があったことだろう。
後宮に仕える名もない大勢の女達や、そしてこの物語の主人公である酒人やその母の井上皇后や娘の朝原内親王にも・・
やはり男と違って女は子供を生む側、生ませられる側にいるのだ。
誰だって自分の子供と自分が可愛いのだから・・
それにしても人生の終盤にであった空海と高岳親王(真如)のことは、物語ではなく・・真実とすれば・・面白いものだった。













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