| 2008年09月23日(火) |
丹生都比売(におつひめ) 梨木 果歩 |
天智天皇がお隠れになって、壬申の乱が始まるまでの物語。 壬申の乱といえば大海人皇子だけれど、これは草壁皇子とその母持統天皇が書かれている。 ファンタジーなのかスピリチュアルなのか とても静かで美しい物語だ。 今まで 私はかなり意識的に草壁皇子のライバルのような大津皇子の物語を好んで読んできた。 大津皇子が陽なら草壁皇子は陰、大津皇子が動なら草壁皇子は静のイメージが強くインプットされているけれど、この作者によると草壁皇子は陰ではないが静ではあるようだ。 でも心の中では静かな動の息づかいを感じるのだ。 そしてタイトルの丹生都比売だけれど、大海人皇子や持統天皇が隠遁していた吉野の山に繋がる高野山に丹生都比売神社なる場所があるようだ。 最後はドンデン返しのように、草壁皇子や忍壁皇子の遊び相手だった大人には見えない地の少女キサが実は丹生都比売だった・・と締めくくる。 歴史の事実を元にしてこんなにも美しい物語を書くなんて・・。
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