| 2008年09月29日(月) |
母・円地文子 富家 素子 |
作家円地文子さんの一人娘さんが母を書いた本。 円地文子はお嬢様だったのだ。 挿入されている家族写真を見ても成程と思える。 祖父は東京帝国大学の文学部教授で、文子が生まれた頃の父親は東京日日新聞の記者でベルリンの特派員だった。 母の好きな事は、美味しい物を食べる事、旅行、着物、芝居見物で年の暮れから正月にかけて箱根の富士屋ホテルや熱海ホテルで過ごすのが習慣だった時期もあった、と作者も書いている。 あの頃の大部分の人は旅行なんて夢の世界の出来事だったんだから。 それに家事もせず、軽井沢への疎開も死ぬまでも女中から家政婦と呼び名が変わっていく人を置いていたのだ。
まぁ いろんな本があってそしてそれぞれに作者がいて、読み終えた時に何故作者はこんな物語を書いたのだろう、・・これは実体験だろうか、などと思い巡らすこともあるけれど円地文子の書くものはそういったことを思わす物語ではない。 そして この母を書いた本も作者が自分に長い文章が書けたことの自己発見だけに終ったように思えてならない。
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