読書記録

2008年11月21日(金) 逆髪               杉本 苑子


 私の苦手な短編集。

だけど 人間の心に巣くう嫉妬というか、人を妬む気持ちの物語ばかり。
復讐というか仕返しのような敵討ちもあって 面白かった。

例えば 表題の『逆髪』
丈なす黒髪が美しさの基準だったその昔、蕨かゼンマイのようにくるくると巻いてしまった髪。この髪ゆえの、初姫の苦悩は一切の縁談をあきらめ、家臣の男をを愛してしまったが、男は、見事な黒髪の腰元と夫婦同然の仲だった。そして、姫を髪の縮れあがった化け物と・・・男と腰元の話を盗み聞きしてからは密かに復讐を企てる。
今のように縮毛矯正パーマなんてないものね、昔のクセ毛の女の人はそれだけで引け目だったんだ。

そして 『奴刑された女たち』
それにしても奴刑とは・・。
不義密通や心中の果ての女にだけ科せられた罪状。
女牢に閉じこめる代わりに、籤で引き渡された吉原の遊女屋で一生働きさせられる刑罰とか。
所詮 男が考えた刑罰だと作者は言う。

     かぎりなく遠きあづまに隅田川  
        おなじ流れをいつまでか酌む




















 < 過去  INDEX  未来 >


fuu [MAIL]