読書記録

2009年04月28日(火) 秋麗                吉武 輝子


 これもタイトルにひかれて読もうと思った本だ。

『秋麗』
まさに人生の秋を生きている私がこのまま老いていっていいものか・・これからどんな冬が待っているのだろうか・・暖冬なのか、厳寒なのか、日々じわじわと突きつけられてくる老いを実感しながら生きている。

作者は少女期に受けた性暴力という事実と、昔から日本に根強くある家父長制度に疑問をもちながらも結婚して1女を設けた。
それでも副タイトルにあるように家庭内別居34年の答え、を 結果的に探すかのような生活を続けた。
作者の言う晩夏から秋へ、初秋から晩秋へと人生のシーズンは容赦なく移り変わっていくことをお互いが病をえて気づかされていくのだ。


人はよき家族に囲まれて死にたいと願っている。でもどんなにたくさんのよき家族が見守ってくれていても、誰一人一緒に死んでくれるものもいなければ、代わって死のうと申し出てくれるものもいない。死ぬのは当事者ただ一人。人生の終焉のときに死という一人旅を免れることのできぬなんと人間は孤独なものよ。

どちらが先立つかは神のみぞ知るである。よき人の死を見送りながら、見送りながら生きつづけることが、どんなに存在としての孤独感を深めさせていくかを身をもって知りはじめているだけに、せめて生ある間は、Kとはやさしくあり合いたかった。いずれにしても行く手には死という名の一人旅が待ち受けている。だとすれば可能な限り、Kとわたくしの二人旅をつづけていきたい。










 < 過去  INDEX  未来 >


fuu [MAIL]