| 2009年05月10日(日) |
夜叉桜 あさの あつこ |
なにげなく選んだ本だったけれど、読み始めてすぐに二年前に読んだ『弥勒の月』の続編だと気がついた。
前回は下町同心の小暮信次郎が主だったように感じていたが、今回は小間物屋の遠野屋清之介がやわらかい商人に変化して主人公になっている。 そして今回の事件は女郎殺しで最期は少々屈折してしまった親子の情が招いた事件だった。 最期まで読んでみたら次もありそうな予感・・。 遠野屋が引き取った女郎菊乃の娘 おこま という女の子がきっと成長して関わってくるような・・。
人は誰もが夜叉を飼う。 よく分かっている。 弥勒にも夜叉にもなれるのが、人という生き物なのだ。ときに弥勒、ときに夜叉。いや・・・仏と鬼との真ん中に人はいる。それはまた、仏でもなく、鬼でもなく、仏にもなれず、鬼にもなれず、人は人としてこの世に生きねばならぬということなのかもしれない。菊乃は夜叉を育て過ぎたのか。 鬼に変化する前に男を道連れに命を絶った・・・。
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