読書記録

2009年11月29日(日) 原 阿佐緒              大原 富枝


 以前 『事件記者』というドラマがあった。
熱心に見ていたわけではないのでほとんど覚えていないのだが
そこに原保美という端正な顔立ちの男優がいらしたことは覚えている。

で 今回の物語 『原阿佐緒』は その原保美の母親だったようだ。

原阿佐緒は歌人としてよりも、スキャンダルの女として有名であった。
その美貌と男社会という時代背景ゆえに、阿佐緒ひとりの存在が何人もの人間を不幸に悩ましてゆく連鎖的な事実を思わずにはいられない、と作者は文中に書いている。

東北帝国大学教授、理学博士、5人の子を持つ石原純という男性に粘着質的な妄執で押し切られ、7年間の石原との同棲がごうごうたる世評の鞭にしたたかに打ち据えられていくのだ。

エピローグで作者は阿佐緒と石原の二人の生涯の軌道を比べてその対照を感慨が深いと記すが、
私はやはり私の廻りには居ないタイプとして疲れてしまうのだ。
今の時代ならもっとマスコミというかワイドショーの恰好の餌食となって世間を騒がすだろうけれど、それでもそんな人間もいるさ、ということでその純粋さを応援する人もいるだろうにと改めて思われるのだ。











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