第21回横溝正史ミステリー大賞受賞作品
コンピューターゲームのソフト制作会社に勤める主人公が、同僚の女性二人がビルから飛び降り自殺した場面に出くわす。 その事件が原因ではないけれど一つのソフトの完成が近づいたところで退社して故郷に帰る。 子供の頃に亡くした両親の死因のトラウマから逃れられないでいたが、コンピューターに詳しいゆえに,故郷で以上に多い事故死に疑問を持つうち両親の死の真相を突き止める。 パソコン通信上の悪意とストーカー行為という現代の病める部分を題材にしていて、その上明治時代の名大工も絡ませて面白い物語だった。 建物の『歪み』という大工の棟梁ならではの視点と現代における『歪み』とをうまく生かしているなぁと感心したことだ。
百人いたら好きになる人一人、嫌いになる人九人、無関心な人九十人だと思っている。
今は、もう、亡き人へ、 そして、今、共にある人へ
作者が物語の冒頭と最期に繰返すこの言葉の意味というか、意図が私はよく分からない。。。
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