読書記録

2010年11月26日(金) 紺青の鈴           高橋 治


伝統的な九谷焼の技法を継承し、古久谷の青を現代に甦らせようと努める紺谷家に生まれた主人公彩子は、自分の腕を試そうと父に内緒で知事賞に応募して第一席に入賞する。
しかしその選考委員は父から波紋された東山教授だった。
父に背いて東山教授の弟子になった彩子だったが、そのへんから物語としての面白みを出すためだろう、その教授と愛し合うようになっていく。

タイトルの紺青という色もさることながら、物語の中にいろいろな色がでてくる。彩子が着る着物など ぜひ実物を見たいと思う。
そういう意味でも2時間ドラマなどにぴったりなのではないかと思った。

そして最期は東山教授の家で長くお手伝いをしていた きよ に東山は殺されてしまう。
きよ は本当に東山を愛していたから、立場はお手伝いさんでも自分の気持の中では妻だったのだろう。
だから東山がいくらホステスなどと関係しても許せたけれど、彩子という仕事の面でも自分が太刀打ちできない女性を東山が本気になったことが許せなかったのだろう。
東山を殺害したあと、自分も丁寧に化粧して後を追うのだから。

私なども芸術には無縁の無粋な人間だから きよ の気持が一番良く分かるのだけれど。













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