| 2011年01月04日(火) |
西行 月に恋する 三田誠広 |
願わくば花の下にて春死なんその如月の望月のころ
西行の有名なこの句にひかれて西行の物語を何冊読んだことだろう。 今まで読んだ西行の物語と比べたら、今回の物語は読みやすい分、西行の出家の様子や待賢門院璋子への思慕の描写が弱いように感じた。 希望としてはもう少し過激というか粘っこく表現してほしかった。
あとがきで本書は歴史小説ではあるが歴史そのままではなく、話しを面白くするために作者の想像力による虚構がまじえてある、と記されているがどの登場人物もさらりさらりと生きているように思ったことだ。
「わたしが月ならば十六夜か立ち待ちの月でしょう」 十五夜の満月は日没と同時に東の空に昇ってくる。欠け始めた時はしだいに昇る時刻が遅くなっていく。十七夜の月を立ち待ち、十八夜の月を居待ち、それ以後の月を寝待ちと呼ぶ。璋子はわが身を盛りの過ぎた月にたとえたのだ。
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