| 2011年02月12日(土) |
牛込御門余時 竹田 真砂子 |
私の苦手な短編がそれでも読み切りやすいように書かれてある。
〇千姫と乳酪(バター) 巷に喧伝されている千姫ご乱行の真相は、義母の淀君から教わった乳酪の製造だったとは。。。 〇九枚の皿 家綱公の旗本、大久保彦六が雨中休業中の市松座を、直参の沽券で開かせた末の顛末は、皿屋敷パロディならぬ夜逃げだった。 〇おすが 初老の武士が顔馴染みの茶店の娘、おすがのためにしたことは、初めての人斬りだった。 〇奥方行状記 夫を待つだけの生活に疲れた旗本の奥方が何かをしたい・・・と役者に入れあげ育てた。 〇献上牡丹 磔、獄門に架けられるはずだった男が至高の華(献上牡丹)を咲かせるために密かに生かされた。 〇繁昌の法則 敵討ちと称して貧乏道場を繁盛させたある企みがあった。 〇やせ男 狂歌好きの洒落モノ集まりの中でお荷物だった男が、小旗本の婿養子に出世した。 〇本多様の大銀杏 銀杏が見下ろす悲喜こもごも
牛込御門あたりで起きた人情物が読みやすい物語になっていた。 今も石垣だけが排気ガスと騒音の中でひっそりと、しかし、誇り高く生き残っているとあとがきにあった。
|