| 2011年03月24日(木) |
水の舳先 玄有 宗久 |
東北の玉川温泉は岩盤浴のような所でガンなどの患者の病気を治す効能があるとして有名だ。 ガンでなくとも 人生を総括したくなったら訪れてみたいなぁ・・・と、私は朧に願っているのだが。。。
物話はこのような強酸性ではないが同じような効能があるという温泉が南東北のある町に噴出し、掘りだした土建屋さんの建てた温泉治療施設に書道の指導かたがた出向く僧侶『玄山』を通して描かれる周囲の人たちの話だ。
ちょうど今 東日本大震災と重なって読んでいても何気に辛い。
この本の著者は、お寺の僧侶だから、死に直面した人間のありかたをとてもうまく表現している。 必ず訪れる死が大海に注ぎ込む川の流れであるならば、その舳先を穏やかな水路に向けたいと願っている弱き人間のバイブルのような気がする。 バイブルなどという言葉がでてくるのも僧侶『玄山』に生きている間に ”湯灌” のような儀式を頼む人のいることだ。 死を悟ったひとの一挙手一投足は悲しいなぁ。。。
読んでいる途中で秋真っ盛りの紅葉がキレイな場所をロケ地に選んで映画を製作してほしい・・・と ふと思った。
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