読書記録

2012年03月26日(月) 暁英  贋説・鹿鳴館        北森 鴻

 日本が江戸から明治へと、恐ろしいほどの混沌から抜け出そうとしてもがいていた頃、日本政府に雇い入れられた若き英国人建築家―のちの鹿鳴館建造担当者―ジョサイア・コンドルを主人公とした歴史ミステリー。

工部大学校造家学科教授兼工部省営繕局顧問としてのコンドルの多忙な日々が始まった。
お雇い外国人という立場でありながらも、異例なほどに日本文化を愛し日本という国の光と影の部分も見ながら、日本趣味の昂じたコンドルは画家河鍋暁斎に弟子入りし、「暁英」という雅号をもらう。日本人を妻とし日本に骨を埋めた人物だ。


しかし惜しくも作者の北森鴻はこの作品の完成を待たず不帰の人となってしまった。
ジョサイア・コンドルの人となりはよく分かったけれど
贋説・鹿鳴館というタイトルにこめられたそのすべての謎の答えは作者の頭の中に仕舞われたまま天国に行ってしまった。
私の頭脳では想像すらも難しいことだ。
あぁ、完成したものが読みたかったなぁ。。。



時代は容赦なく人を飲み込んでゆく。
そこであがくか流れに身を任せるか、選ぶ自由はあっても、どちらにせよ行く末の自分を予測することできない。








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fuu [MAIL]