| 2012年06月02日(土) |
不思議な宮さま 東久邇宮稔彦王の昭和史 浅見 雅男 |
ひがしくにのみやなるひこおう
鈴木貫太郎内閣を引きついで、戦後初の首相となった 東久邇宮稔彦王の半生。 日本の危機には「切り札」としていつもこの名前が出ては立ち消えた。 日米開戦の直前には、東条秀機も東久邇宮を首相にと望んだが、皇室の人間を国の最高責任者にはできないとこの時もその話は消えた。
北朝第3代崇光天皇の流れをくむ伏見宮家の王で、明治天皇の皇女を妃とし、陸軍軍人としても重きをなした。 その一方で、フランス留学の長期化や、臣籍降下騒動、女性問題や右翼との危険な関係を抱えたりと、皇族付武官泣かせのなかなかに賑やかな人生を送られた。
この本は 膨大な王の日誌や武官たちの日記、未刊行資料を丹念に検討して、矛盾点なども指摘しながら書き進められた。 日米開戦や敗戦にむけての状況も詳しい内容になっていた。
ただ 敗戦後、王が102歳という高齢を保ったことの経過がなくてそれはとても残念なことだ。 そして 著者がタイトルに ”不思議な宮さま” としたことの真意を私なりに想像している・・・・・
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