なか杉こうの日記
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きのうは夜 郵便局なんかに行ったら ちょうど花火大会で 駅から群集といっしょになった。 みな、若いひとである。 腕をくんであるいは ともだちどうし 浴衣の裾を わざとのように 手でぱたぱた はたいている女の子もいる だらしない浴衣の着方を 知らないのか 知っていてもわざと適当に着ているのか びっくりするような子もいる そんなのが 冷たい風の吹きすぎる 車を通行止めにした ギンザ通りを 海岸にむかって どうどうと どうどうと 流れていく どちらかというと 静かな晩である 人もさざめいているのだが 声は夜空に吸い込まれてしまう わたしの子供の頃は 家族で行ったのを覚えているが みな若い子 それも十代後半か 二十代前半の子ばかりのようである 家に帰って夕食を取っていたら ぱあん、ぱあんといくつも音がする やがてばんばんばんと連続してきたから たまらず二階のベランダに行って眺めたが とお向かいのツーバイフォー住宅の屋根の向こうに 煙がいくつも上がっているのが見えるのみである 海は、ここからは遠いのである それっきり、静まった。 だもんでわたしは 父と静かに夕食を済ませた。
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