優雅だった外国銀行

tonton

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17 ジュリアン氏再来日
2005年05月23日(月)

「また来る」と言って、ラボルド氏と仲違いして去って行ったジュリアン氏が、副支店長として戻って来た。 前回は駐在員事務所の副代表であったから、大きな昇進なのであろう。 メキシコに5年居た事になる。 2番目の娘ドミニクは太りぎみで、ひょうきんな顔の父親似であったが、すっかり変わって美しい女性になっている事に迎えに出た謙治は驚かされた。 長女マリヨンは、フランスの大学へ行っている為、今回は来ないとのことだ。 支店の中の外国人も、いつの間にか6人を数えるようになって、謙治は彼らの世話で結構忙しくなっていた。 査証の取得、延長、再入国手続き、住居探しと保全、家具の問題、引っ越し、外国の自動車運転免許の日本免許への切り替え。 フランスの自動車運転免許には更新というものが無い。 一度取得した免許証が一生更新なしで使えるのである。 だから頭の禿上がった、でっぷりしたおやじさんの、ぼろぼろの免許証の写真が18才の美少年であったりする。 中古車探しも結構時間のとられる仕事である。 それに謙治を非常に困らせたのが交通事故であった。





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