竜也語り

2004年05月06日(木) 言葉は人格

本日から仕事。
朝はさすがに憂鬱であったが、出社すればそんなこと吹っ飛んでしまうような忙しさだった。
1日で休みボケは無くなった…。

GWに静岡へドライブに行った。
3日の日に出掛けたのだが、あいにくこの日は天候が今一つで、静岡までわざわざ出向いたにもかかわらず、私達はあの雄大な富士山を拝めなかったという、もう笑うしかない状況に陥ってしまった。
大抵の人間はここでこう言うだろう。
「よっぽど普段の行いが悪いのね。」

まだ私が新入社員だった頃の話だ。
会社の先輩の結婚式に出席したことがある。
当時、社のイベントがあり、企画宣伝の人間以外にも数々の部署から応援人員が駆り出された。
応援部隊の殆んどが入社2〜3年までの若い人材であり、新人である私はいの一番に出向いた。
そこで知り合ったのがその先輩だ。
彼女は私より2つ年上で、同じく応援部隊の一人だった。
3日間一緒に仕事をしただけであったが、この縁で仕事の付き合いはなかったが、プライベートでは随分と可愛がってもらった。

3月、その先輩が結婚することになった。
彼女は私を式に招待してくれた。
ところが、式の当日は3月の雪であった。
着物こそ着ていかなかったが、大変苦労して式場まで行ったことを覚えている。
同じ会社の人間が大勢招待されていたが、部署が違うため、私の顔見知りの人はほとんどいなかった。
ロビーで所在無く一人で座っている私の耳に、彼女の同僚の女性達の囁く声が聞える。
「よっぽど普段の行いが悪いのね。」

そこに60代位の品のある着物を召したご婦人が私の側にやって来た。
そしてその婦人は私に言ったのだ。
「空の雪までもが、二人の門出を祝福しているようですね。」
・・・私はその言葉にやられてしまった。そして、それまで何となく沈んでいた私の気持ちがスーッと晴れていった。
聞いたか!? 今の言葉を!
あっぱれな言葉であった。人生の喜びも悲しみも全て引き受けた、大きな笑顔であった。
芯の強い女性なのだろう。そうでなければ、あの言葉は出てこない…。

あれからほぼ二十星霜…。
はて、私は人に元気を与えられるような人間に成長したか…?
人格を磨く努力を、怠らずやってきたか…?
3日の日、ちょっと言ってみようかと思った。
「静岡の雲までが、私達を迎えてくれてるね。」
…やめておいた。
漫才のボケ役になってしまう。こんなこと私が言えば、周りから怒涛のツッコミが入るだろう(笑)
まだまだ私は、あのご婦人の足元にも及ばない…。まだまだ修行中なのだ。



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